
識字率や出生率、家族構造といった人口動態データを用いて旧ソ連の崩壊を予測したトッドの最新作です。その彼が提示するのは「西洋はすでに敗北しつつある」という衝撃的なテーゼです。ウクライナ戦争を単なる地域紛争ではなく、西洋(アメリカ・NATO)と非西洋(ロシア・グローバルサウス)の代理戦争と捉え西洋の産業力・知的基盤・道徳的価値観の衰退を鋭く分析しています。非西洋世界が静かに台頭している現実に対して日本はこれから過度な西洋依存から脱却して自律的な外交と現実主義に基づく国家戦略を持つべきだと説いています。
西洋の敗北 |
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エマニュエル・トッド 著 文藝春秋 2,800円 |